4月12日 1961年の本日 世界初の有人宇宙衛星ボストーク一号の発射に成功しました

その時の宇宙飛行士が かのガガーリンで有名な一言「地球は青かった」と言う言葉を残されたのだそうです。人が乗り込むまでに 様々な動物 最後は人間に近いと言われているチンパンジーまでが 宇宙に出かけて 無事に帰還していました。とは言え 世界で初めての挑戦ですから 大変な勇気が必要であったろうと思います。勿論成功すれば 人類の歴史に名を刻む大変な名誉ではありますが もし失敗して命を失ってしまったら 例え名前が残ったとしても ほとんど無意味な事としか考えられません。
現在では 民間人でも 大変なお金を支払って とんでもなく厳しい訓練を受けて テストにパスすれば 宇宙旅行が体験できるのだそうです。何しろ世界で初めての挑戦ですから 今になって考えれば 大したリスクとは言えないのかもしれませんが それはやはり「コロンブスの卵」のようなものかもしれません。最近は この「コロンブスの卵」という逸話から来る表現が殆ど使われていないように思いますから ひょっとしたらお若い人たちにはご存知ない方がいらっしゃるのかもしれません。
コロンブスと言うのは アメリカ大陸を発見した15世紀の冒険家ですが 大西洋を西に向かって航海して アメリカ大陸にヨーロッパ人としては初めて到達したのですが 帰国してから その偉業に対して 大西洋を西に向かって進めば アメリカ大陸に行きつくことなんて 昔から言われていたことで 別に大した出来事ではないと 批判された時に その人に対して茹で卵を立ててみることを試みさせました。誰も出来なかったので コロンブスが玉子の下の面を押しつぶして 立てて見せました。そんな事をすれば誰でも出来て当たり前だ と反論する人がいましたが 卵のお尻を潰してはいけないというルールがないのだから ルール違反ではないし 何事も初めて行う事が難しいのだと 言ったとか言わないとかいうお話しです。
とにかく 世界で初めて宇宙へ旅立ったのですから 大変な勇気が必要な 素晴らしい偉業だと思います。何しろ初めて宇宙に出るのですから どのようなトレーニングを積んでおく必要があるのかも 全然わからない中で 準備を行ったのですから 周囲の人間にすれば これ位の事を前もって経験しておけば大丈夫であろうと 気楽に想定しても ご本人にしてみれば 不安な事この上ない精神状態だったろうと思います。私の様な腰抜け野郎には 例え百年準備しても 旅立てない位に恐ろしい事だと思います。
昔読んだ逸話で 空を飛びたい人が天狗に修行をしてくれることを頼みました。天狗はその人をいきなり断崖絶壁に連れて行き ここから飛んでみなさい と言います。その人は まだ全然修行をしていないので 飛べるわけがないと尻込みします。しばらくの間天狗について 修行を積みます。そこで天狗がまた断崖絶壁にその人を連れて行って 飛んでみなさいといいました。しかしその人はまだ恐ろしくてとても自信が無いので 飛べませんでした。更にかなり長い期間修業を積んだ後に 天狗はやはりその人を断崖絶壁に連れて行き 思い切って飛んでみるように促しました。その人は その時思い切って断崖から飛び出したところ 上手に空が飛べたのだそうです。要するに 人が事を成そうとするときには あれこれ思い悩んでいるよりも 思い切って踏み出してみれば 成功することが多いのかもしれない事を 教えてくれている逸話だと思います。
私が 動物病院を開業するときも同様だったのかもしれません。正直な所 私は人づきあいが上手なほうではありませんし 人一倍不器用な性質ですから 開業しても上手く病院を経営していけるのかどうか 全く自信がありませんでした。ただし何時までも勤務医として働いていても 将来がない事だけは明らかでしたから ある時に思い切って 開業することを決意いたしました。まあその時にラッキーだったのは 父が一応一戸建ての自宅を所有していてくれましたので その土地と建物を担保に借金して開業できました。
動物病院を開業するのには 色んな形がありますが 私の場合は賃貸物件での開業でしたが それでも二千数百万円の借金からスタートしました。正直な所 開業してみたとしても 月にどれだけ売り上げが上がるのか どれだけの売り上げがあれば 借金を返済しながら 生活していけるのかさえ全然見当がつきませんでした。当面は 毎月決まった日に 借金の返済として銀行口座から 四十万円以上の金額が引き落とされます。他にも薬屋さんの買掛金や 水道光熱費の類がどんどん引き落とされていきますから とにかく銀行の口座がマイナスにならないように 注意して預金を続けていきました。
何とか 借金や買掛金などを引き落とされても 銀行口座がマイナスにならない状態で 辛うじて生活できていましたから 何とか無難にスタートが切れたのだと思います。案ずるよりも産むがやすし と言う言葉もありますが 細かい事には目をつぶって思い切って踏み出したことで 何とか動物病院の経営に何とか成功したのかもしれません。勿論私よりも優秀な先生が もっと上手に経営されていれば 更に発展して立派で評判の良い病院になっていたのかもしれませんが 何とか辛うじて借金を焦げ付かせたことはありませんでしたし 病院が潰れかけそうな事件も起こらずに 現在に至っております。
コロンブスが 西に向かって航海を始めた時にも 人生のかかった大博打だったのかもしれませんが 見事に勝利を収めて 後世にまで名を残したのだと思います。私のごくごく些細な成功を コロンブスの大成功に 重ねあわせるのは チャンチャラおかしいのですが 私も一大決意をして 開業に踏み切ったところは 類似するところがあるのかもしれません。人間だれでも人生で何度か勝負をかけなければならない局面に出くわすのだと思います。
私の場合は 一つ目は サラリーマンを辞めた時に 大きな回り道になることは間違いないけれど 獣医師になるために大学受験からやり直すところだったように思います。二つ目が 不安は山ほどありましたし 上手くいく自信は全くありませんでしたけれど 動物病院を開業した時だったように思います。私の人生なんて 他人から見れば ほんの鼻くそみたいなものかもしれませんが それなりに頑張ってしんどい局面を乗り切ってきたつもりですから この仕事を引退するときには 多少は自分の頑張りを評価してやってもいいのではないかと考えております。

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