4月3日 肛門嚢破裂の縫合手術をしました

朝一で来院された猫ちゃんが肛門嚢破裂を起こしていました。肛門のわきに大きな裂け目ができている、と仰って血相を変えて入ってこられました。割と大人しいネコちゃんだったのでバスタオルで上半身をくるんで幹部の辺りを観察しました。普通に肛門嚢が破裂した場合はその破裂した傷跡が一センチ前後のものが多いのですが この猫ちゃんはなんと三センチぐらいの大きな穴が開いていました。普通の大きさの破裂の場合は 場所が肛門のすぐわきで不潔になりがちなので日に数回消毒して抗生物質の軟膏でも塗擦してもらいながら肉が盛り上がり皮膚が再生するのを待つのですが この子の場合はあまりにでっかい穴が開いているので縫合した方が猫ちゃん本人と飼い主さんの負担が軽くて済むと判断して 傷口を縫合手術することにしました。

手術の承諾書を頂いて飼い主さんには一旦帰宅して頂き 昼に病院を閉めてから手術をしました。導入麻酔を投与して気管チューブを挿入して 手術が始まりました。まずは手術する部分の毛を刈りました。するとこの子は今回の破裂の数か月前にも一度破裂していたみたいで 思っていたよりも広範囲で皮膚が壊死しているのが見つかりました。直ぐに写真を撮って飼い主さんに電話をして事情を説明しました。術前に予測していたよりもさらに広範囲の壊死した皮膚を除去して縫合する必要があるわけです。電話でそういわれると半年ほど前に下半身を触ろうとすると非常に嫌がる時期があったことを飼い主さんが思い出されました。

まあ、手術の範囲が倍ほどに広がったわけですが 手間暇をかけて丁寧にお肉の部分に死控ができないように吸収糸で縫い合わせました。次に皮膚を更に丁寧にナイロン糸で縫合しました。予定よりも手術の範囲が広がったので その分時間が余計にかかりましたが患部の場所が場所なのでいつも以上に丁寧に縫合しましたからきれいにくっ付いてくれると思います。傷口を舐めないようにエリカラーを装着して 抗生剤などを注射して手術が無事終わりました。

飼い主さんに飲み薬の投薬と 傷口の丁寧な消毒の説明を十分にしましたから 十日後にはきっと無事に抜糸できると思います。肛門嚢は全ての犬猫が持っています。溜まりやすい子と殆ど溜まらない子がいますが それは体質の問題だと思います。溜まりやすい子はきちんと絞って嚢を空にしても十日もすればまた溜まってしまうかもしれません。におい袋がたまった時の特有のしぐさとしては排便時に地面に肛門をこすり付けたり しょっちゅう肛門の周囲をなめまわしたり、手足の裏の肉球の辺りを舐めたり噛んだりします。もしこのような仕草を見つけたらすぐに病院に連れて行きましょう。におい袋の絞り方を飼い主さんにお教えしますので 出来たら覚えて頂いてまた溜まってきたら自宅で絞ってあげましょう。出来ないようなら面倒でも病院で絞ってもらいましょう。破裂してしまうともっともっと面倒なことになってしまいますから。

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