5月25日 臍ヘルニアの緊急手術をしました

「急にお腹の真ん中にでっかいお出来ができたので診てほしい」と来院されたので早速診察をしてみると 皮膚病の出来物ではなくて 臍ヘルニア いわゆるデベソが膨らんでいる状態でした。ヘルニアという言葉で連想されるのは人間のぎっくり腰を思い出される方が多いのかもしれません。ヘルニアという言葉の意味ははみ出した状態を表します。背骨というのが一つ一つ独立していてドーナツ状の形をしていますが その穴の部分に脊髄という一番大きくて一番大切な神経が通っています。背骨と背骨の隙間が開いたり狭まったりして背骨が曲がったり伸びたりするわけです。ぎっくり腰というのは 正確には椎間板ヘルニアと言いますが その背骨と背骨の隙間が狭まる時に真ん中を通っている脊髄がほんの少しだけはみ出して背骨と背骨の隙間に瞬間的に挟まってしまうことです。脊髄は最大であり最重要な神経ですから 瞬間的にでも骨と骨の隙間に挟まることによって大きなダメージを受けてしまうのです。

臍ヘルニアというのはおへそという部分がお母さんの胎内にいるときにへその緒を介してお母さんと胎児がつながっていることはご存知の方も多いと思います。無事に出産すると腹壁のお母さんとつながっていた管の部分はしっかりと閉じてしまうのが普通です。所がその穴が完全に閉じていない状態で成長してしまう場合があります。普段はその閉じきっていない穴があっても何も影響がない場合も多いのですが 突然力を入れた瞬間に急に腹圧が上がったりしたときに その臍のあった部分の閉じきっていない穴から腹控内に存在するもの例えば脂肪や腸間膜である場合が多いのですが はみ出してしまう場合があります。おへその部分に服控内の内容物がはみ出して 外から見るお丸く膨らんでいおる状態を いわゆるデベソ 正確には臍ヘルニアと呼びます。

普通の臍ヘルには脂肪や腸間膜などがはみ出してきているので 外側から慎重にはみ出しているものを押し戻してやるとすべてはみ出している穴から服控内戻ってしまい ペッタンコになります。所がこの子の場合は押し戻そうとしてもヘルニアの内容物が堅くて大きくて全然戻ろうとしてくれません。飼い主さんの話ではこれまでにおへそが膨らんだのを見たことがないという話だったので 初めて臍ヘルニアの状態になったのだと思いますが 運悪く腸管がはみ出してきてねじれて晴れ上がった状態になってしまったようなのです。皮膚の外から押し戻そうとしても無理なので皮膚を切開してはみ出している状態を正確に把握したうえで 適切に腹くう内に戻してやらねば危険な状態になりそうでした。

本日はほかにも手術の予定が入っていましたが 時間が経過するとねじクレタ長官のダメージも大きくなりそうだったので 緊急手術を実施しました。膨らんでいる周囲の皮膚を切開して はみ出している腸管のねじれを解消して腹くう内に戻して 再び内容物がはみ出さないように腹壁をしっかりと縫い合わせました。それほど難しい手術ではありませんでしたが 予定外の手術で結構疲れました。

臍ヘルニアは 普段はそんなに悪さをしませんが 例えば女の子で出産させようと思っておられるのなら 交配する前にヘルニアを閉じる手術が必須うになります。胎児でお腹が膨れ上がりますから ヘルニアが残っていると内容物がはみ出してややこしいことになる可能性が高いからです。本日手術した子のようにこれまでデベソ状態になったことがない場合は気づけなくてもしょうがありませんが デベソ状態を経験したことのある子は早目に閉じてしまう手術をおすすめします。人間も動物もそうですが年を重ねると徐々にいろんな部分が緩んできますから ヘルニアの隙間も広がってしまい 手術を要する状態になる可能性が高まるかもしれません。ある程度年齢が進んでから手術が必要な状態になっても 心臓や肝臓が悪くなって手術のリスクが非常に高くなってしまうことが考えられるからです。

たかがデベソですが恐ろしい事態を招く可能性をはらんでいますから 気づいたら早目の対処を考えてあげてください。

ブログ一覧