6月18日 腫瘍の摘出手術で かなり手こずりました

6歳の雌の柴犬の乳腺腫瘍の摘出手術をしましたが まあ「私の見込みが甘かった」と言われてしまえば 返す言葉がございませんが もう少し短時間で 出血量も少なく 手術を終えるつもりで始めましたが 腫瘍の広がり方が 当初の予想よりも大きかったので 正直な所 かなり手こずってしまいました。手術を自分で経験された方は 少ないとは思いますが 経験者ならご理解いただけると思いますが 私の考える一番厄介な手術は 出血量の多い手術です。

腫瘍とは その肉体にとっては とっても迷惑な存在であり 放置すれば命に関わることも少なくありません。そんな困った存在なのに 何故か肉体は勘違いしてしまったかのように 腫瘍に対してVIP待遇を与えてしまうのです。兎に角腫瘍細胞が 成長しやすい様に血管網を充実させて 血流量を凄く大きくしてしまうのです、腫瘍の摘出手術と言うのは そんな特別に優遇されてしまった厄介なお客さんを 肉体にメスを入れて 切除する手術ですから ある程度の出血は 致し方のない事です。

例えば猫の避妊の手術の場合 十センチ位お腹の皮膚を切開して 腹腔内から卵巣と子宮を摘出する作業を行うのですが 順調であれば 術野から血液をふき取るために使用するガーゼは四~五枚位ですみます。勿論一番出血の少ないとされている部位を 切開しますから 手術を見学した方が驚くほど皮膚を十センチも切開しても 殆ど出血しません。勿論子宮と卵巣を摘出するのですから 動脈を切断するわけですが その血管から出血しないように 念入りに厳重に糸をかけて縛りますから その部分から出血することはまずありません。順調に進めば その後丁寧に縫合を三回繰り返して 閉腹して手術が終わります。

所が 本日の手術は 乳腺にできた腫瘍を 複数個摘出しましたが 一つ一つが 最近急激に大きくなっていましたので 勿論厄介な手術になることは 想定しておりましたが その想定以上に 術野に太い血管が沢山存在しておりましたした。腫瘍細胞の広がりも触診で予想していた以上に大きかったので 正直私の想定外でかなり広範囲にわたって 腫瘍細胞の摘出をしました。雑草は 地表に出ている部分を抜いてしまっても 千夏に根っこが残っていれば あっと言う間に再生してしまいます。腫瘍細胞も 出来る限りその種が残らないように 丁寧に摘出する事が大切だと考えております。

そんな訳で 本日の手術は 私が術前に想定していたよりは 面倒な手術になってしまい かなり手こずってしまいましたが 幸いまだ若くて元気な子だったので 術中呼吸が安定してくれていましたので 何とか自分なりには キチンと腫瘍の摘出手術が出来たと思います。傷口は かなり大きくなってしまいましたが まだ若くて再生力も強いので 落ち着いたらどこを手術したのか 分らないくらいに奇麗にくっついてくれるだろうと思います。

しんどい手術をやり終えた後 ドクターXだったら ガムシロップを大量に飲み干しますが 糖尿病を患っておりますので そんなことは出来ません。でもかなり血糖値が低下しているはずですから 少しだけ甘いもので 自分にご褒美を上げたい気分です。今回の手術では 急速に拡大していた腫瘍の摘出だけで終わりましたが 乳腺腫瘍は 女性ホルモンによって刺激されて成長しますので 一段落したら なるべく早く 子宮と女性ホルモンを分泌する卵巣の摘出 いわゆる避妊の手術が 必要ですので またその時には頑張りたいと考えております。

 

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