8月3日 久しぶりにウーパールーパーが来院しました

極たまに来院されますので 今回がウーパールーパーとしては十例目ぐらいの患者さんです。正直なところ犬猫のように診察慣れしていませんし、病気や体調不良に対する対処法も教科書的な知識だけで対応しています。私たちはあらゆる動物が診療対象になりますし、いろんな動物の外科や内科は当然 産婦人科や整形外科の分野でも対応しなければなりません。

人間のお医者さんの場合は対象が人間 それも殆どが日本人ですから 対象が極限定されていて それでいて受持ち範囲がまた限定されています。獣医師が対象にするのは動物であり 犬といっても品種は相当に多いわけで ほんの2~3㎏のものから50㎏以上のものまでいます。品種によって似たような症状であっても 心配される病気が異なる場合もありますし、当然年齢によっては授乳児から相当なお年寄りまでもが診察対象ですから年齢により対処法が異なる場合もあります。

最も診察する機会の多い犬でさえ 個体によって対処法、治療法を慎重に選ばねばならないケースも少なくありません。爬虫類や両生類 最近では珍しい種類の鳥類までペットショップの扱う種類はどんどん増えています。珍しモノ好きな飼い主さんも当然いらっしゃるわけです。電話がかかってきて動物の種類と治療が可能かどうか尋ねられた時に どのような動物か本で見たことがあり 基本的な知識がある場合には 来院をお勧めしています。

まさか飼い主さんに 「実物を見るのが初めてです」などと言える訳はありませんが 何事も経験です。一例目がなければ百例目もあり得ないのですから。種類が異なっても脊椎動物の場合 症状の発現機序は共通する場合が多いので 対症的な治療は 犬猫の治療を応用できる場合が多いみたいです。

ウーパールーパーというのは日本国内だけで通用する呼称で 正式にはメキシコサラマンダー(サンショウウオ)といって幼形成熟する両生類なのだそうです。カエルなどはオタマジャクシと蛙で形態が異なりますから 同じ両生類でも異なる分野に属するみたいです。

1985年に日清のカップ焼きそば「UFO]のCMに登場して 日本では有名になりました。本来は体表の色としては結構なバリエーションがあるみたいですが 現在ペットショップで販売されているのはアルビノ(白化個体)が多いようです。来院された理由は数日前から食欲がなくなり 皮膚に異常をきたしている、という事でした。

ウーパールーパーは基本的に水中で生活していますから 皮膚病であっても外用薬は使えません。食欲を呼び覚ますお薬も 病院では注射で投与できますが 飼い主さんのお宅では 内服薬を投与するしかありません。基本的にデリケートな動物なので数年飼育しているが 直接体を触ったことが殆どないそうです。

飼育するときに 体に直接触れないように心がけることは賢明なのですが病気の治療のための薬を投与するためには それなりに大きなリスクを伴いますが体をつかんで口からシロップの内服薬を流し込むことが必要なのかもしれません。患者であるウーパールーパーにしてみればすごく大きなストレスのかかることですから 飼い主さんに丁寧に薬の投与のリスクを説明しました。ただ、リスクはあっても投与しなければ 何もしてあげられず 見殺しになるのかもしれません。

患者本人にとってどれだけのダメージが残るのかわからないので 取り敢えず帰宅して落ち着いてから 内服薬の投与を試みて頂くことにしました。上手く投与出来て食欲と元気を回復されることを期待いたします。

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