9月2日 動物についての間違った迷信 その2

 飼い主さんがよく勘違いされている間違った迷信について もう一つ書きます。「動物は傷口をなめて治す」です。外傷で来院された時 その傷口が口の届く範囲であるなら 病院での治療の第一歩は傷口に口が届かなくする処置です。エリカラーをまく場合が多いですが、とにかく傷口を動物が舐められないようににすることが重要です。
 動物にすれば傷口は痛みや違和感があるので気になって舐める行為はごく自然な反応かもしれませんが 舐めるという行為が傷の治療には最悪なのです。傷口をなめれば 付着している泥やゴミは取り除かれるので 見た目にはきれいになるようにも思えます。
 ところが 口の中は人間も動物も雑菌だらけであり、その雑菌を傷口に擦り付けることになってしまうので 傷口を清潔にすることが大切な治療のためには最悪の行為なのです。勿論傷口をなめても傷口が治癒する場合もあると思いますが それはその動物の持っている免疫力を中心とした傷口を回復させる力が傷口を舐めたことにより侵入した雑菌の増殖力を上回ったにすぎません。雑菌の増殖力が上回ると 外傷を負ってから結構時間がたってから表面の傷口は塞がってしまった頃になってから ブヨブヨと膿が皮下にたまってしまい、晴れ上がり熱を持って痛みを伴うような症状で 来院されるケースも珍しくありません。飼い主さんに細かく事の経緯を聞いていくと そういえばだいぶ以前に喧嘩をして噛まれ傷が出来たけれどほっといたら舐めているうちに治ってしまった、などという話はよく耳にします。表面的な傷口は修復されても その時点で侵入した雑菌が増殖して 膿がたまる状態になればそれは傷が治癒したとは言えないでしょう。
 傷口を舐めさせずに清潔な状態を保った方が 確実にスムーズに傷は治癒したはずです。ですから、動物が外傷をを負ったときには たとえ小さな傷口でも一旦病院に来られて 適切な治療を受けられることをおすすめします。

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